家のチャイムが鳴り、急いで玄関に向かった。
ヤマト運輸の配達員は、荷物に書かれている
名前と住所を確認すると、足早に去っていった。
まぁ、ヤマトの配達員は、
中身が何かも知らないし、
そんなことに興味はないだろう。
ただ、荷物を書かれた住所に届けるだけだ。
彼にとっては、
数多くある荷物の一つに過ぎないだろう。
しかし、僕にとっては、
その荷物は、特別なものだった。
初めての高価な万年筆だったんだ。
すぐに部屋に持っていって、
逸る気持ちを抑えながら、開封写真を撮った。

ダンボールケースから中身を取り出すと、
ビニールの袋で覆われた外箱が現れた。

その外箱を開けると、
中から万年筆が入っている内箱が出て来た。

開けてみると、こんな感じだ。
値段に見合うしっかりとしたケースであると感じた。

中身は、
- 万年筆本体
- インクカートリッジ(ブラック)
- 使用説明書
- 保証書
そして、一通り写真を撮り終わると
心臓が高鳴るのを感じつつ、
たかが筆記具だろ?
と気持ちを落ち着かせようとした。
それでも何万円もする筆記具なのだ。
購入ボタンを押すのに数日かかったこの筆記具に
“たかが”と言ってしまっては、
あの悩んだ時間はなんだったんだ。
でも、やはり、“たかが筆記具”なのだ。
この筆記具を使えば、
劇的に字が綺麗になるわけでもない。
紙に文字を書く用途を果たすためには、
百均のボールペンだってできる。
この筆記具を使えば、
ひと月10万円稼げるわけでもない。
それなのになぜ、百均のボールペンの数百倍もする
筆記具を買ってしまったんだ。
なぜだろう?
そう思いつつも、早くその高価な筆記具で
紙に文字を書いてみたい。
その衝動が抑えきれない。
ん?思ったより重くないぞ!【重さとバイアス】41.9gの重厚感か、認知的不協和か
一通り、写真を撮り終わると、
改めてその高価な筆記具を両手で持ち、眺めてみた。
ん?思ったほど重くないな。
その筆記具は40グラムくらいあり、
一般的な万年筆に比べ重いことは知っていた。

実際に測ってみると、41.9gある。
(空のインクカートリッジ込み)
インクが満タンに入った新品のインクカートリッジを
挿入後は、42.7gだった。
なので、
カートリッジを取り替えて、
最初に文字を書くときは、
42.7gの重さということになる。
そして、PILOTのHPには41.3gとなっており、
これは、空のカートリッジなしの重さだと思われる。
空のカートリッジを取り外して測ってみたら、
41.1gだった。
しかし、その41.9gという数字が
どの程度のものなのかはわからない。
普段、ボールペンなどで字を書くとき、
「このボールペンは〇〇グラムだから、
軽くて書き心地がいいな」
なんて、考えたことがないからだ。
また、そりゃ、両手で持ってりゃ軽く感じるよな。
なんて、すぐにわかった。
そこで片手で持ってみる。
まぁ、確かに重さはある。
普段使っているボールペンに比べたら、確かに重い。
ZEBRAのSARASAというボールペンを測ってみたら、
10.4g
(このボールペンのインクは半量以下だった)
よく使っているボールペンの4倍の重さがあるんだ。
しかし、
それでも、そこまで重さを感じない。
それは、横向きで持っていたからだろうか?
今度は、人差し指と中指と親指でペン先を持ち、
書くポジションをとってみた。
うん。確かに重い。
それでも、
その重さを重厚感という認識になってしまう。
それが、数万円という金額からくる
バイアス(偏った見方)なのだろう。
【視覚の静寂】ノイズを洗い去る、マットブラックという「意匠」


それと、黒いマットな質感。
やはり、高級感が漂う。
マットな質感が見た目にも手触りにも心地いい。
しかしこれも、バイアスの何者でもない。
数万円もしたんだからいいものに決まっている
という希望的観測から来るバイアスによって
重くて書きにくいという欠点を
高級感、重厚感というプラスのイメージに
すり替えてしまっているようにも感じる。
もっというと、ダメな子ほど可愛い理論に立ち、
ちょっとくらい重くても、
その重い万年筆を使いこなすことが
ステータスになるなんていう、
ちょっと歪んだ認知もしてしまっていた。
それと、黒というのは高級感を演出するということは、
マーケティングの世界では常識だ。
何でもかんでも黒くしておけば、
高くできる。
(この表現にはちょっと語弊があるかもしれないが)
黒烏龍茶
黒豆
黒胡麻
などなど挙げればキリがない。
確かに、食品に関して言えば黒い方が、
特定の栄養素が多く含まれており、
健康効果が高いから、高く売るための大義名分はある。
どちらにしても、
今まで体験したことのないことが、
今、現実に起きているとなると、
冷静で客観的なものの見方ができないのは、
当たり前だ。
僕はいわゆる、
認知的不協和に陥ってしまっていたようだ。
要するに、
書くという行為のためには、
百均のボールペンでも事足りる。
それなのに、
僕は今、高級万年筆を手にしている。
このような矛盾状態に陥っているのだ。
ここはやはり、
自分は正しい選択をしたんだというバイアスに
浸るしかない。
そう決めた。
そのほうが幸せだ。
今更、「100円のボールペンで事足りるのに、
数万円も出して筆記具を買うなんて、
なんて馬鹿なことをしたんだ」
そんなことを考えても仕方がない。
僕は、正しい選択をしたんだ。
そう思うしかなかった。
それでも、このマットブラックの質感は、
生活のノイズを洗い去ってくれる気がしてきた。
しかし、チェリー・ピッキング
(自分に都合のいい情報だけを集めてしまうこと)
にならないよう
一度、深呼吸をしてから、
この高級な筆記具をできるだけ客観的にみてみよう。
【想いを装填】深いブルーブラックを満たす、静かなる「儀式」
ただ、そんなこと考える前にとりあえず、
この万年筆で紙に文字を書きたい。
当たり前だ。
紙に文字を書くためのこの高価な万年筆を買ったんだ。
そのためには、まず、インクを入れないといけない。
一応、説明書を読んでみる。
そうか。
回せばいいんだな。
左手にクリップがついている方のヘッド部分を持ち、
右手にノブがついている軸の部分を持って、
右手で軸を回した。
回し始めは、少し力がいる。
しかし、固すぎず、ゆるすぎず、
適度な力で回していくことができた。
その際、
シュッシュッシュッと金属同士が擦れる音がする。
回した感覚からネジとネジ山の精度の高さを感じた。
回している最中のガタ付きがないのである。
そして、ネジが外れた瞬間
軸の部分がバネの力で、右側に1センチほど飛び出た。
すぐに右手で、キャッチしたが、少し驚いた。
キャップレスという構造上、
内部にバネが仕込まれているんだな。
そして、確認すると、
銀色の内部機構がお目見えした。
その内部機構は、
さらに筆記体と呼ばれるペン先部分と
カートリッジカバーに分かれるようだ。
カートリッジカバーを取り外すと、
空のカートリッジが現れた。
この空のカートリッジと
付属されているインク入りのカートリッジを
取り替えればいいんだな
というとはすぐにわかった。
その入れ替えは簡単だ。
空のカートリッジを抜いて、
インク入りにカートリッジをそこに挿せばいい。
ただ、僕は、付属されているブラックのインクでなく、
もともと持っていたブルーブラックのインクを挿入した。
そして、カートリッジカバーをする。
その後、筆記体をヘッドに差し入れる。
その際、筆記体の凸部分を
ヘッドのガイド溝に合わせないと入っていかない。
万年筆は、ペン先の向きが重要だ。
間違った向きに入れないような配慮がされているのだ。
最後に、ヘッドに軸を回し入れればOKだ。
このインクの充填は、非常に簡単だ。
抜いて挿せばいい。
カートリッジ式のインクは、
この手軽さがいい。
しかし、やはり、
インクを充填する行為は、
「これからこの万年筆で、書くんだ!」
という、意思表明に似た「儀式」にも感じた。
【摩擦の排除】キャップという「壁」をなくした、ワンノックの起動
さぁ、いよいよこの高級万年筆で、
紙に文字を書く時が来た。
まずは、ペン先を出さないといけない。
当然、軸の先についているノブを押すのだろう。
ノック式ポールペンと同じ原理だ
ということはすぐにわかる
いわゆる、アフォーダンスというやつだ。
いや、正しくはシグニファイアというらしい。
(僕はずっと勘違いしていた)
このシグニファイアというのは、
簡単に言ってしまえば、行動を起こさせるサインだ。
僕たちは、ノック式のボールペンから
ノブのを押すことで、ペン先が出ることは学習済みだ。
そのため、初めて使う万年筆でも、
ノブが飛び出していれば、そこを押し入れれば、
ペン先が出てくることは、容易に想像できるし、
ある意味、無意識的にそのような行動をしてしまう。
このことは、上記した
内部構造の筆記体をヘッドに差し入れる際の
凸部分とヘッドのガイド溝にも当てはまる。
そして、後述するが、
このような説明しなくてもやり方がわかる“サイン”が
この万年筆にはいくつもあることがわかった。
話を戻す。
右手の人差し指から小指までを折り曲げて本体を支え、
親指の腹で、ノブの先に触れた。
一般的なポールペンのやシャープペンのそれとは、
長さが違う。

約19mmも飛び出ている。
(写真だと20mmくらいに見えるがちゃんと測ると19mmほど)
そして、押した瞬間、少し力がいると感じた。
しかし、
ノック式ボールペンのチープな軽さではなく
少し重みのある重厚感だ。
そして、最後の押し切る時にスッと軽くなり、少し戻る。
この感覚がものすごく心地よかった。
音はほとんどなく、
スー、スッスッといった感触。
ボールペンの安っちいカチッという音はない。
当然、ペン先が出てくる。
可愛らしく控えめに飛び出したペン先が、
なんとも愛くるしい。
いかにも万年筆!
という五角形のペン先ではなく、
二等辺三角形に近いシルバーのペン先が現れた。

ペン先を出した時の全長は140mm。
(写真では140mm以上ある様に見えるが、ちゃんと測ると140mmほど)
ZEBRAのSARASAとほぼ同じ長さだ。
【控えめな心臓部】視界を奪わない、18金ペン先の「謙虚な設計」
万年筆で最も重要と言えるのがペン先だ。
この万年筆は、
僕があまり好まない、いかにも万年筆!
と主張する金色に輝くペン先ではない。
ヘッドから出ている部分は、わずか約7.5mm。
セーラーのプロフィットのそれは、約21mmなので、
1/3程度しか出ていない。

何もペン先は小さい方が良く、
セーラーのプロフィットのペン先が悪い
と言っているわけではない。
好みの問題だ。
僕は、もともと金色に輝く五角形のペン先に
良い印象がなかった。
そのことが尾を引いていた。
僕自身が、控えめな性格なので、
そのことも影響しているのかもしれない。
控えめで目立たないが、やることはしっかりとやる。
そういうところに惹かれたのかもしれない。
そんな想いに浸りながら、
ついついペン先を眺めてしまった。
このペン先の素材は、18金で柔らかめ。
基本的に万年筆のペン先は、
大きい方がしなりが大きく書き心地が柔らかく感じる。
この万年筆のペン先は、小さいので、
素材としては柔らかめの18金を使っているのだろう。
その18金のペン先が銀色にメッキされている。
僕は、細い文字が好みなので、
ペン先の太さはF(Fine)を買った。
【指先のシグニファイア】邪魔なはずのクリップが、所作を導く
そして、ついに高級万年筆で、文字を書いてみる。
人差し指、中指、親指でペン先をもち、
文字を書くポジションをとった。
そうか!
人差し指と親指でクリップを挟むように持つと、
ちょうどペン先が上に来るのか!
この万年筆は、万年筆としては珍しく
クリップがペン先の方についている。
そのため、書くとき邪魔じゃないのか?
と思っていたが、
クリップも細く(太い部分で3.6mm)設計されており、
邪魔にはならない。
一般的なクリップとしては、細く心許なく感じるが、
スチール製で硬さもあり、しっかり取り付けてある。
また、小さめのペン先との統一感も感じられる。
上記したように、この万年筆は
一般的な万年筆と比べると重い。
そのため、この細さは、
なるべく軽くしようとした意図があるのだろう。
それと、クリップがペン先にあるのは、
その重さをなるべく感じさせないようにする配慮だろう。
同じ重さで、重心がペン先側にあったほうが
重さを感じにくい。
さらにこの位置にクリップがあることで、
持つ時の指のポジションが
わかりやすいという利点もある。
万年筆は、ボールペンと違い、
ペン先の向きが重要だ。
そのため、書き始める前に
ペン先の向きを確認する必要がある。
ただ、この万年筆は、
クリップを人差し指と親指で挟めば、
ペン先を適切なポジションに持っていくことができる。
書くときにクリップが邪魔にならないポジションが
人差し指と親指の間だ。
だから、無意識的にそのように持つ。
これは、地味に嬉しいポイントだ。
ただ、やはり、少し重さを感じる。
この重さが、書き心地、長時間書くことに
どう影響するかだ。
【充足の感触】脳の淀みが紙に吸い込まれていく、静かなる「摩擦」
まずは、文字ではなく、縦横の線を書いてみた。
万年筆は、ボールペンと違って、
筆圧を必要としない。
“万年筆自体の重さだけで書くける”
という表現を見たことがある。
特にこの万年筆は、重さがあるため、
その重さだけで、紙にインクを乗せることができる。
(当然、軽い万年筆でも、
その重さだけで紙にインクを乗せることはできるが)
しかし、しっかりとした文字を書こうと思ったら、
万年筆を文字を書くポジションに固定しておかないといけない。
特にこの万年筆は、重さがあるため、
文字を書くポジションを保持するのに
一般的なボールペンよりも少し力がいる。
しかし、筆圧を上げて書くボールペンに比べると、
書く際には力を入れる必要はない。
ボールペンは、(右手で書く場合)
左から右への線を書くときは、親指に力を入れる。
右から左への払いや上から下への線などの時は、
人差し指に力を入れる。
これは、すごく微妙な力加減だし、
ペンの持ち方や書き方によって個人差があると思う。
また、力を入れないとインクが乗りにくい
油性のボールペンの場合で、
水性のボールペンに関しては、
そこまで力を入れなくてもいいように感じる。
この万年筆は、そんな水性ボールペンより
少し小さい力でも書ける。
ただ、文字を書くポジションをキープするのに
常に力を入れ続ける必要があるため、
長文を書く際には疲れが生じる可能性があると感じた。
それでも、数行書く数分程度では、
それほど疲れる感じはしなかった。
この辺りは、慣れが必要なようだ。
それと、紙の上をペン先が動く感覚が、
滑らかで心地良かった。
紙とペン先の摩擦が少ないのだろう。
サラサラ書ける。
紙の上をペン先が滑りながら、
インクを紙に乗せている感覚だ。
【静寂のノック&ツイスト】赤い線が教える、終わりの儀式
そして、書き終えたペン先をしまう。
このペン先をしまうやり方は、
一般的なノック式ボールペンとは違うようだ。
ノブを押してもペン先は引っ込まない。
ノブの下部にある尾冠という部材を少し回してみると、
自らスーッと周り、ノブが出てペン先が引っ込んだ。
これを「ノック&ツイスト式」と呼ぶそうだ。
この動きがゆっくりでいて、とても滑らかだった。
尾冠の断面の一部が、
富士山の形のような突起になっていて、
その頂上に赤い線が引いてある。
全身を黒いマットな質感で覆われている中、
ここだけ赤い線が引いてあるのだ。
誰が見ても、そこに目がいく。
そして、一部だけ突起がある。
その突起に指を引っ掛けて回すのだろうということが、
説明を受けずともわかる。
さらには、ペン先がしまわれた状態で、
その赤い線が「PILOT JAPAN」という印字と
同じ位置になる。
また、この赤い線と「PILOT JAPAN」は、
クリップの真逆の位置になるように設計されているのだろう。
そういったところにこだわりや
つくりの精度を感じた。
この万年筆の開発に関わった方々に敬意を表したい
書き終り、この万年筆を置いた時、
またこの万年筆で字を書きたいという想いに駆られた。
【見えない配慮】なぜ乾かない?内部構造の「妙」
万年筆に限らず、
インクを使うボールペンやマジックなどは、
そのペン先が乾かないようにキャップがあるのが一般的だ。
ただ、インクの性能が上がり、
何日もキャップをせずに放っておいても
普通に使えるボールペンも多い。
しかし、万年筆に限っては、
ペン先にキャップをせずにペン先が乾いてしまうと、
インクが固まり、書けなくなってしまう。
ただ、染料系のインクを使用していれば、
ペン先を水につけておけば、インクが溶けて
再度書けるようになることが多い。
しかし、顔料系のインクの場合、
乾いたら取り返しのつかないことになってしまう。
そのため、万年筆には、キャップがある。
しかし、このキャップレスという万年筆は、
その名の通り、キャップがない。
ではなぜ、ペン先が乾かないのか?
それは、ペン先がしまわれた状態の時に
シャッターが閉まっているためだ。
そのことで、ペン先の乾燥を防いでくれる。
当然だが、キャップがある一般的な万年筆に比べて、
構造が複雑になる。
そのため、高い技術力が必要になるし、
手間もかかる。
【ペン先に込めた思想】
では、なぜ、
そんな技術力を磨き、
手間をかけてキャップレスを開発したのか?
そこには、
「万年筆をスマートに使って欲しい」という“想い”が
感じ取れる。
多くの万年筆のキャップは、ねじ込み式だ。
そのため、万年筆を使う時は、
キャップをクルクル回さないといけない。
それが、まどろっこしい。
何かをメモに取ろうと思った時、
サッと取り出して、スッと書くことができない。
キャップがねじ込み式でないにしても
キャップがあると、キャップを取り外す
という行為をする必要がある。
しかし、キャップを廃し、ノック式にすることで、
サッと取り出して、スッと書くことを可能した。
キャップレスを手に取り、ノブを押すだけの
「ワンノック」でペン先を出すことができる。
このスマートさは、他の万年筆にはない
唯一無二の快適さだ。
この書くことの手軽さをいうのは、
万年筆にとって画期的だ。
基本的に万年筆を使おうと思った時、
少し気合を入れる必要があるように感じる。
言い方を変えると、万年筆を使うことは、
敷居が高い。
その一つの要因が、キャップを外すという行為だ。
道具というものは使ってナンボだ。
それは、万年筆に限ったことではない。
買ったはいいが使うのが面倒で、
滅多に使わないなんてことでは、宝の持ち腐れだ。
それに、つくり手の立場からも、ケースに入れて、
あたかも美術品や骨董品の如く扱われるのは
本意ではないはずだ。
それでも、こういった高級な万年筆を買ってすぐは、
モチベーションも高いので、
頻繁に使うだろう。
しかし、
万年筆を使うことに面倒臭さを感じてしまっては、
その頻度は落ちてしまう。
僕は、何事も続けることが重要だと思っている。
その続けるということの条件には、
手軽さは含まれる。
このキャップレスは、
スマートに使い、スマートに使い続けることができる
数少ない万年筆だと言える。
【長い歴史に培われた技術と安心感】
このキャップレスという万年筆が誕生したのは、
1963年。
1回目の東京オリンピックが開催される一年前のこと。
そして、さまざまな改良が重ねられてきた。
1963年の1号機は、ノブを押すのではなく、
回転させてペン先を出す回転式だった。
その翌年に開発された2号機は、
ノブを押してペン先を出すノック式。
その後もノブ式にしてみたり、回転式にしてみたりと
改良を重ねてきた。
中には、先端を下に向けると
ペン先が出てくる自重式というものも開発されている。
かなり、攻めた製品だなぁ〜と感心した。
それからさらに改良を重ねて、
2019年にこのキャップレスLSが開発された。
このキャップレスLSは、
実に12代目のキャップレスだ。
そして、LSでは、今までになかった新機能である
「ノック&ツイスト」が採用されている。
この「ノック&ツイスト」に関しては、
上記した通りだ。
1963年の初代から2019年の12代目まで56年、
半世紀以上に渡り
試行錯誤を繰り返してきたことになる。
そして、このLSは
「ラグジュアリー&サイレント」というコンセプトに
昇華された。
ここまで長きに渡り、
繰り返し開発が進められたのには、理由がある。
それは、確固たる「想い(思想)」があったからだ。
PILOT社の開発担当者の強い想いがあったからだ。
きっと、スマートに万年筆を使って欲しい
というような想いなのだと、僕は思っている。
そんな想いが、使い手に伝わり、
長い間、愛され続けてきたのだろう。
当然のことだが、
いくら強い想いがあっても売れなければ、意味がない。
ビジネスの世界は無情なもので、
売れなければ開発に経費を割けない。
最悪、廃盤となり、販売停止となる。
しかし、キャップレスは、そうはならなかった。
半世紀以上に渡り開発を続けて来れたのは、
半世紀以上に渡り売れ続けて来たからだ。
開発者の強い想いと、
その想いを具現化して製品となった。
そして、使い手もその想いを汲み取って来たのだ。
その事実は、手にした時の安心感につながる。
これから、万年筆をスマートに使いこなしたい
そう、お思いなら、手にしておいて損はない。
そして、開発者の想いを感じ取ってほしい。
【修正案:最後の締めくくりとボタン】
半世紀以上に渡る開発者の「執念」に近い想い。
そして、その想いを汲み取ってきた、
数えきれない使い手たち。
その歴史の最先端にある「LS」を手に取ることは、
単なる買い物ではない。
それは、あなたの日常を
「スマートで、凛とした時間」へ塗り替えるという、
自分への投資でもある。
一方、人の感情や行動には、
慣性の法則が当てはまる。
ご存知の通り、
この慣性の法則は物理学の用語だ。
生物学的にいうと
ホメオスタシスという言葉もある。
要するに、人は、一定を好む。
昨日と同じことをしていたい。
だから、昨日と違うことをしようとすると、
全力で抵抗する。
この「キャップレスLS」は、
僕の人生を変えるくらいの力があった。
だからこそ、僕は、
このキャップレスLSを持つことに抵抗したし、
購入後に手にした後にも、「たかが筆記具」
なんて言い方をして、拒否反応を示した。
強い力があるからこそ、強い反発がある。
それは、正常な反応だ。
人は、
変わりたい自分と
変わりたくない自分が共存していて、
常に戦ってる。
そして、多くの場合、
変わりたくない自分が勝つ。
そのことは、企業も同じだ。
それでも、56年に渡り、12回ものモデルチェンジを
繰り返してきたキャップレス。
そこには、変わりたくないという意識に抗う
強い想いを感じる。
だからこそ、このキャップレスを手にした時、
変わりたい自分が、変わりたくない自分に
打ち勝つことができる気がしたんだ。
56年間変わり続けて、磨き上げられ、
たどり着いた「ノックの感触」や「書き心地」を、
ぜひあなたの指先で確かめてもらいたい。
その瞬間、あなたは「たかが筆記具」という言葉を、
口にできなくなるはずだ。

コメント